売上1億ドルの大企業

NKグループは様々なケーブルを製造しているスペシャリスト企業だ。1994年、現本社を構えるハノイのロンビエン地区に設立された。元々は低電圧ケーブルの製造に特化してハノイ市内や近郊で営業をしていたが、自動車部品大手「矢崎総業 』との提携を機に、自動車のワイヤーハーネス用電線を製造する工場を展開。事業規模を拡大し、毎年1億ドルを稼ぐ大企業へと成長して今に至る。

NKグループは2つの子会社から成り立つ。自動車・バイクのワイャーハーネス用電線、溶接機用接続ケーブルを製造しているゴックカイン（株）（Ngoc Khanh Co.、Ltd）と、0.6-1KVの低電圧の電線を製造しているドンジャン（株）（Dong Giang JSC）の2社だ。まずは同グループが扱う主力電線3つを簡単に紹介しよう。

ワイヤーハーネス用電線  グループ最大の主力製品。自動車、バイク内の電源供給や信号通信に用いられる電線を束にした特殊なケーブルである。過酷な条件に耐えられるよう耐性を有しいる。トヨタ、日産、スズキ、ホンダなど大手自動車メーカーで使用されている。日本のグループ企業である矢崎総業は、ワイヤーハーネスの生産において世界トップクラスのシェアを誇る。NKグループは矢崎総業との提携により車用のケーブルを独占的に提供している。

アルミケーブル  生活用品にも使われる高電圧用ケーブル。鉄とアルミから作られる。500kWの交流電気に対応でき、ベトナム全土で使うことが可能。主な提供先はベトナム各大都市の電力会社（国家企業）。高品質を安定的に保つために、材料は100％外国から仕入れている。

低電圧ケーブル（アルミ・銅材）近年は主に土木と工場建設に用いられ、工業団地で活躍する機会が増えている。ベトナムの国営電機企業にも提供している。日系企業や韓国企業への供給も多く、サムソンのベトナム工場建設にも使用された。ミャンマーやアンゴラの建築工事に使用されるなど、海外進出も進んでいる。

ユーザーの100％満足を実現

NKグループは高品質ケーブルを提供するために、いくつもの創意工夫を行っている。まず、同グループの成功を支える要素のひとつに「ケーブルの圧縮技術」がある。使われるものによってケーブルの大きさは異なるが、例えば車に使われるケーブルは、小さければ小さいほど、細ければ細いほど余剰スペースが生まれ、新たな設備の導入や軽量化につなげられる。より小さく細いケーブルを提供することは、クライアントを本当の意味で助け、他企業にはできないアピールとなる。

より良い電線を提供するために、NKグループはケーブルそのものだけでなく、ケーブルを製造する設備にもこだわり、全ての設備を海外から仕入れている。ドイツやイタリア、台湾、中国等の一流メーカーから設備を購入することにより、生産効率化を実現し、最高品質のケーブル製造に成功している。

クライアントに対するフォローサービスも万全だ。依頼を受けると速やかに社員を工場に派遣し、ケーブル構築を支援する。実際に使うようになってからも、電話によるアフターサービスで使い心地や要望について事細かにコンサルティングを行い、ユーザーが現場で使い慣れていくまでの工程すべてをサポートする。

自動車メーカー等の大企業からの低品質が許されない発注に対して100％満足してもらえるよう、品質維持とサービスを徹底しているのだ。

新たなケーブル市場を開拓

ベトナムの経済成長は、工業団地の発展と共にあった。今後も工業団地に新たな生産拠点を設ける海外企業は増え続けるだろう。工場団地に低電圧電線を売り込んでいるNKグループにとって、このトレンドは大きな機会となる。

またベトナム政府は太陽光発電など再生可能エネルギーの開発を進めており、環境に優しい発電所が各地に増えることが予想される。そうなれば必然的に送電ケーブルの需要が増し、エネルギー分野においてもNKグループの存在感は高まっていく。

これら以外にも、NKグループはテレビやコンピュータに使われる電子製品用のケーブルの利益拡大や、自動化生産設備専用のケーブルの開発も進めている。

「たかがケーブル、されどケーブル」

ケーブル業界のトップに君臨する先導者として、NKグループは今後も新たなケーブル市場を開拓し、さらに躍進していくだろう。