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第5回  ゴム産業

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アジアで最も高い収穫量 ベトナムは世界の主要なゴム生産国の1つであり、2018年のゴム生産量は前年比3.9%増の114万2千トンだった。単位面積当たりの収穫量も、新しい品種のゴムノキの導入や栽培技術の進歩により大幅に増加した。ここ数年は年間1.6~ 1.7トンを維持し、アジアで最も高い収穫量を誇る国の1つとなっている。 2011年から2018年にかけて、ゴムノキの栽培面積は80万1,600ヘクタール(以下ha)から96万5,400haに増加した。特に南東部は伝統的な栽培地域であり、国内最大の栽培面積をもつ。南東部における2017年のゴムノキ栽培の総面積は54万8,864haで、国内全体の約56.6%を占めた。 南東部のゴムノキ栽培は各省に広がっ ている。それぞれの面積は、ビンフォック(Binh Phuoc)省が23万7,568ha、ビンズオン(Binh Duong)省が13万3,998ha、タイニン(Tay Ninh)省が10万437ha、ドンナイ(Dong Nai)省5万1,272ha、バリア・ブンタウ(Ba Ria-Vung Tau)省が2万1,725ha、ホーチミン市が3,733ha。 次に、中央高地の栽培面積は24 万9,014haで、国内全体の26%を占めた(2017 年)。そのうちコントゥム (Kon Tum)省が7万4,756ha、ザライ(Gia Lai)省が10万356ha、ダクラク(Dak Lak)省が3万8,381ha、ダクノン (Dak Nong)省が2万6,348ha、ラムドン(Lam Dong)省が9,173ha。 主要製品は高品質タイヤ ゴムの製造加工を行っているのは主に国有企業で、そのほとんどはベトナムゴ ム産業グループ(VRG)傘下の企業および小規模家庭だ(面積は全体の約51%)。 ベトナムで生産できるゴムの種類はかなり多様である。その中でもSVR3L が 最も多く、約50%を占める。しかし、SVR3Lの需要はあまり高くない。一方、自動車タイヤの製造に使用され、世界で最も消費されているSVR10 お よ び SVR20は、ベトナムのゴム生産量の15 ~ 18.7%にすぎない。したがって、ゴム製品の構造を調整することが、今後のゴム産業にとって重要な課題となる。 ベトナムのゴム産業の主要製品はタイヤだ。国内の大手製造企業はカス ミナタイヤ、ダナンゴムタイヤ、サオバンゴムタイヤなど、外国企業はサイレン(中国)やクムホ(韓国)などがある。国内で生産されるタイヤは種類が豊富で品質も良く、約130 ヵ国に輸出されている。 従来はラジアルタイヤを製造するために、ベトナムのゴム工場はタイ、マレーシア、インドネシアなどからSMR10および20の天然ゴムを高価格で輸入する必要があった。国内ではまだ生産できなかったからだ。ところが最近になって、ニャットベト社のエンジニアチームが、自動車用ラジアルタイヤの製造に適したSVR10の加工技術の研究に成功した。SVR10で製造されるタイヤは、カスミナ社で日本のJIS D4230規格に沿ってチェックされる。これはSMR10で製造されるタイヤよりも優れている。 ゴム輸出量は増加傾向 タイヤ以外にも、ゴム部品、ゴム靴底、ゴム手袋、ゴム衣類、ゴムチューブなども製造・輸出している。 2018年のゴム輸出量は前年比13.3%増の156万トンに達した。しかし金額ベースでは前年比7%減の20.9億米ドルにとどまった。輸出量が増えたにもかかわらず輸出額が減少したのは、輸出単価が平均で約20%下落したため。 2019年のゴム輸出量は170万トン(23億米ドル)だった。主な輸出先は中国、インド、韓国だ。そのうち中国への輸出量が全体の67.5%、金額ベースで全体の 66.5%を占めた。2019 年 1 ~ 11月の中国へのゴム輸出量は101万トン(13.5億米ドル)に達し、量も金額も前年同期より約10%増加した。 そのうち合成ゴムの輸出量は前年同期比5.8%増の67万トン、金額ベースでも5%増の9億725万米ドルに達した(ゴム総輸出量の51.3%)。 2019年の最初の10 ヶ月で、SVR20の 輸出は前年同期比151.8%増、SVRCV40は66.9%増、RSS1は47.6%増、ラテックスは 30.9%増、SVR 3L は

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第4回  プラスチック産業

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建設・工業用の生産が増大 ベトナムのプラスチック産業は成長期にある。2010年から2017年にかけて、製造加工業、小売業、建設業の発展がプラス要因となり10.8%の成長率を実現した。2018年以降は製造加工業と建設業の成長鈍化に伴いやや低下したが、2019年の成長率は7.2%、生産量は889万トンに達した。2019年から2023年までのプラスチック産業の年平均成長率は6.5%と予想されている。以前に比べ低い数字ではあるが、かなり高い成長率といえよう。 ベトナムのプラスチック産業は、低付加価値のカテゴリー(包装用プラスチック・家庭用プラスチック)から、高付加 価値のカテゴリー(建設用プラスチック・ 工業用プラスチック)に生産をシフトする傾向がある。2015年時点では、家庭用プラスチックが約29%、包装用プラスチックが約38%を占め、建設用プラスチックと工業用プラスチックはそれぞれ18%と15%だった。しかし現在は、包装用プラスチックが35%、建設用プラスチックが24%、家庭用プラスチックが22%、工業用プラスチックが19%となっている。 プラスチック製品の輸出は2012年から2019年にかけて順調に伸びており、2019年の輸出額は前年比13%増の34億米ドルに達した。主な輸出先は日本、アメリカ、EU、アセアン、韓国、中国など。ただし、ベトナムプラスチック協会によ ると、この数字は2018年の成長率より低く、期待どおりの結果ではなかった。主な要因として、欧米や日本など主要な輸出先の市場が不安定であること、プラスチックの原材料を輸入に依存していること、製品の種類が単調であることなど、ベトナムのプラスチック産業が直面している様々な問題が挙げられる。 輸出される製品は、廉価な包装用プラスチックが最大の割合を占めている。これはベトナムのプラスチック産業が、低付加価値輸出に依存した成長モデルであることを示している。 原材料は輸入に大きく依存 ベトナムのプラスチック産業はいまだに輸入原材料に依存しており、原材料の 85%を輸入に頼っている。国内生産の原材料では量がまったく足りず、多様性もない。現状、ベトナム国内で生産できる樹脂の種類は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリスチレン(PS)の4つがあり、そのうちPVCが総生産能力の51%を占める。 輸入量が最も多いのは、包装用プラスチックの生産に必要なポリエチレン(PE)やPPだ。PEはまだ国内生産ができず、PPは生産可能だが国内需要を満たせない。税関総局の2019年(1~11月)統計によると、PE及びPPの輸入量がプラスチック素材総輸入量の55.3%を占めた。主な輸入先は韓国、中国、サウジアラビアなど。 原材料の輸入依存はベトナムのプラスチック産業の弱点になっている。為替リスクはもちろん、原材料価格の変動がコストを押し上げ、競争優位性を損ねる恐れがあるからだ(原材料価格は生産コストの60 ~ 70%を占める)。また、輸入相手国の規制で特恵関税を受けられなくなる可能性もある。原材料を輸入に依存する産業構造が、ベトナムのプラスチック産業の持続的成長を阻む最大の要因といえよう。 プラスチック素材の調達方法の一つとして、地場企業は廃プラスチック(以下、廃プラ)を輸入している。昨年、世界最大の輸入市場である中国が廃プラ類の輸 入禁止に踏み切ったことは、世界のプラスチック市場に大きな衝撃を与えた。中国だけでなく、欧州などの他の地域でも「世界のゴミ捨て場」になることを避けるため同様の措置を発表した。これにより、ベトナムを含む東南アジアの国々が仕向け先の代替地となっている。 政府は、自国が廃プラの主要目的地になることを回避するための措置をとったが、他の東南アジア諸国と同様、ベトナ ムもプラスチック素材の国内生産が弱く、輸入プラスチック素材の価格が高いため、廃プラを利用して国内ニーズに対応しているのが現状だ。2018年には38.1万トン以上の廃プラを世界中から輸入した。しかし、廃プラは豊富なプラスチック素材である一方、ゴミ問題、環境問題の原因にもなるため、政府は規制を強化している。 投資拡大で国内供給に期待 2020 年から2021年にかけて、プラスチック素材の国内供給が大きく成長することが期待されている。プラスチック素材の年間国内生産能力は2017年には77.1万トンだったが、2018年にはニソン製油所・石油化学コンプレックスの稼働によって110万トンに達した。同施設のPP生産量(37万トン/年)が追加され たかたちだ。他にも、2019年には2つの石油化学コンプレックスの建設が始まった。ロンソン石油化学コンプレックスと、ヒョスン石油化学コンプレックスだ。 そのうち、ロンソン石油化学はタイのサイアムセメントグループ(SCG) が主導して計画を進めており、総投資額は54億米ドル。同プロジェクトが稼働すると、年間でエチレン95万トン、PP40万トン、HDPE(高密度ポリエチレン)45万トン、LDPE(低密度ポリエチレン)50万トンの生産が可能となり、国内供給に大きく貢献することが期待される。 しかし、2017年から2022年にかけて、プラスチック素材の国内需要の年平均成長率は6.6%、2022年には需要が810万トンに達すると予想される。投資規模をさらに拡大し続けていかなければ、輸入依存からの脱却は叶わないだろう。

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野原-ITC ベトナム有限会社  スクラップは、財産。大切な資源を次世代へ繋げていく

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ベトナム国内で唯一、日本人がライセンスを持つスクラップ回収会社――。 野原 -ITC ベトナム有限会社は、地元の産業廃棄物業者にはできない「安心の提供」を強みに、ベトナム国内において、日系スクラップ回収会社として多くの信頼を得ている。「スクラップは、財産。」そう語る社長の野原祥立氏は、顧客から預かった産業廃棄物を大切な資源と捉え、リサイクルを通じてベトナムの未来を紡いでいる。 技術と社員教育は「日本式」 事業活動で生じる鉄、非鉄くず、木くず、プラスチック類などの産業 廃棄物の処理に関わるのがスクラップ業者だ。2012年に創設された野原-ITCは、「日本人がライセンスを持つスクラップ回収会社」という強みを生かして、ベトナム北部を中心に様々な企業の産業廃棄物回収を行っている。 産業廃棄物処理には「収集運搬・中間処理・最終処分」と3つの工程があり、野原- ITCでは中間処理を行う。中間処理は、産廃業者が発生工場、工事現場から廃棄物を収集して指定の処分場・リサイクル施設へ運搬する収集運搬と、回収したスクラップを適切に加工し、最終需要家へと納める役割を担う。 野原- ITCでは、鉄の100%リサイク ルと産業廃棄物の適正処理を通じ、資源循環型社会の構築を目指している。 野原- ITCの取引先の9割は日系企業。だからこそ、スクラップ回収に関するノウハウやスタッフの教育は「日本式」だ。親会社である野原株式会社は60年以上も続く老舗スクラップ会社であり、長年培ってきたノウハウは野原-ITCにも継承されている。野原社長は、「日本での当たり前は、ベトナムにいるお客様にとって“安心”に繋がるんです」と語る。 ベトナムでの産業廃棄物回収に対する顧客の不安を解消すべく、従業員の教育は徹底して行っている。例えば、「決められた日時を遵守する」こと。日本人にとっては当たり前のように感じることでも、地元企業にお願いをすると一筋縄ではいかない。指定した時間に遅れることは日常茶飯事で、指定した日と違う日に来ることもあるという。 野原-ITCでは社員教育を徹底しているため、そのような事は起こらない。日本で仕事経験のあるベトナム人社員がリーダーとなり、清掃や時間に対する考え方を全社員に教育して「日本式」を教え込む。そうする事で組織内の意思疎通がしやすくなり、社員同士のコミュニケーションが円滑になるという。 全社員が日系企業で働いている自覚を持ちながら業務を行う。この「意識の違い」こそが、地元業者とのサービスの差に繋がっているのだ。 社長自らが顧客をフォロー 日本人がライセンスを持つスクラップ回収会社は野原-ITCだけだが、ベトナム企業と合弁で産廃回収を行う日系企業も存在する。しかし、そのような企業と野原-ITCに決定的な違いがある。それは、社長自らがお客様窓口に立つ営業方針だ。 同社には営業スタッフは存在せず、野原社長が顧客とコミュニケーションを図る。 社長自らが営業窓口になることで即断即決が可能になり、営業スタッフを通じたやりとりの手間は一切生じない。両社ベトナム人スタッフを介してのやり取りの場合、自身が思う要求や日本人的な感覚を直接伝えることができずストレスになる。 しかし野原-ITCとの取引ではその手間がない。直接日本語で訴え掛けることができ、それに応えられる。このスピード感と安心感こそ、野原-ITCの最大の強みなのだ。 また、地元業者との取引では、価格や資源の取り扱いに関する説明などが曖昧な部分があるが、野原-ITCでは野原社長が説明を丁寧に行い、重要な部分で「分からない」という不安が生じないよう手厚くフォローする。 さらに、報告等は野原社長から直接あるので、顧客側は日本語のコミュニケーションだけで済む。もちろん野原-ITCには日本語を話せるベトナム人スタッフもいるが、様々な疑問点などを日本人に確認できる点は、日系企業にとって安心感に繋がる。 スクラップのやり取りは不透明な部分が多く、不安が残る複雑な業種である。日系スクラップ回収会社のパイオニアである野原-ITCは、顧客の不安に寄り添い、大切な資源を日々適切に処理しているのだ。   日本式の強みを世界へ 資源の適切な処理は、顧客の信頼に繋がるだけでなく、ベトナム国内の資源循環にも大きく貢献する。 今後の方針について野原社長は、「日系企業はもちろんのこと、韓国系や中国系など、日本以外の企業へも積極的にアプローチしていきたい。後には、自社で最終処分場を保有する事も目標に入れている」と語る。 野原-ITCが持つノウハウを外資系企業へと提供し、ベトナム国内のスクラップ回収におけるシェア拡大を目指しているのだ。 日本式を世界へ――。野原-ITCはリサイクルを通じてベトナムの未来を紡いでいる。 野原-ITCベトナム有限会社 Address: Moc Ty Hamlet, Trung Trac Commune, Van Lam District, Hung Yen Tel: (+84)-221-378-8139 Fax: +84-221-378-8140

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第3回  非鉄金属

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ベトナムでは鉄鋼業が盛んだが、主に建築用鉄鋼で、製造業用特殊鋼は需給ひっ迫の状況にある。そこで今回は、アルミ、銅材、チタン等の非鉄金属供給の実状をリポートする。 アルミニウム アルミ需要の統計資料はないが、日本の経済産業省がまとめた『ベトナムにおけるアルミリサイクル事業展開可能性調査(平成27年3月)』によると、月間約6万トンと推定され、そのうち約5万トンは圧延・押出分野、残り1万トンはアルミ品の鋳造・ダイカスト分野である。 国内のアルミ主要製品はドア、窓、アルミサッシ等の建築材だ。建設業界の成長は、アルミを含む国内建設資材産業の成長の原動力となっている。アルミ押出の分野では、地場企業の割合が高い中、Lixil、和伸工業などの日系を含む外資系企業も参入している。 アルミ鋳造・ダイカストの分野では、自動車・バイク産業の発展によりベトナム企業の能力が向上し、外資だけではなくホンダ、ヤマハ、ピアッジョ(イタリア系)のTier1メーカーになった地場企業もある。 アルミ形材の分野では、中国企業の進出で多くの地場企業が苦戦を強いられた。中国の税還付政策によって中国製アルミの価格は国内製より約1.5万ドン/キロ(約0.7ドル/キロ)安くなり、ベトナムに大量に輸入された。国内企業は競 合できなくなり、多くの工場は生産能力を引き下げて稼働せねばならなかった。 ベトナムアルミ協会によると、ベトナムに輸入された中国製アルミの数量は、2015 年 か ら 2019 年にかけて9倍近く増加したようだ。2015年にはわずか7000トンだった中国製アルミの輸入量は、2018年には 6.2 万トンに達した。ベトナム製アルミは2016年には国内シェアの約 70%を占めていたが、2019年には約30%にまで下落し、残る70%は中国製アルミとなった。 商工省は2019年10月1日、そうした状況を改め国内アルミ産業を保護するべく、中国の一部のアルミ製品に対して2.49 ~ 35.58%の税率を課すアンチダンピング措置を発動した。 その結果、中国製アルミの輸入量は大幅に減少し、一部の国内企業は生産量20 ~ 30%増となった。 ベトナムはボーキサイト等の資源を有するため、アルミ生産にはメリットがある。ボーキサイトの埋蔵量が最も多い中央高地には、国営ベトナム石炭鉱産グループ(TKV)傘下の採掘施設が2 ヵ所ある(ダクノン省のナンコ工場、ラムドン省のタンライ工場)。 このうちタンライ工場は2013年10月から2018年末までの5年間に大成功を収めた。最初の3年間は損失が発生したが、2017年以降は利益を上げ始めた。ナンコ工場は稼働初年に350億ドン(約1億6000万円)の利益を得た。 2018年、TKVのアルミナ生産・販売量は130万トン、輸出価値は5億2,000万米ドルに達した。さらに2019年10月までに、TKVは550万トンのアルミナを生産・販売した。ベトナムは2013年からアルミナを輸出し始め、2018年までに輸出量は約130万トンに達した。主な輸出市場は中国、韓国、日本、トルコ、インド、タイ、台湾など。 ダクノン省に設立されたベトナム初のアルミニウム精錬電解工場、チャンホンクアン金属精錬所はまもなく完成し、2020年に稼働する。投資総額は約6億9,000 万米ドル、総面積は約180ha、アルミニウム生産能力は年産45万トン。稼働後はナンコ工場の製品とタンライ工場の一部の製品を使用する予定だ。ベトナムはアルミ原材料を輸入に依存してきたが、この精錬所が稼働すれば国内製アルミ材を利用できるようになり、今後は輸送費等のコスト削減が期待される。 近年はアルミのリサイクルも活況を呈している。まだ正式な統計データはないが、零細企業(村)が約95.2%の数量を占め、年間約70万トンがリサイクルされているようだ。 銅材 ベトナムで唯一にして最大のシンクエン銅山にあるビナコミンの精銅所が、年産約9万トンの精鉱(銅品位25%)で稼働している。これらの銅精鉱は、2020年に操業を開始するBanQua精銅所に供給される計画だ。それ以外にも、バクザン省において過酸化銅より精銅する年産1,000トンの精銅所が稼働している。計画はあるが、まだ起工していない精銅所も数ヵ所ある。 精銅施設が少ないため、鉱物を輸出することもある。最近の例では、タイグエン省にあるヌイファオ社が、国内で販売できないため、2016年から在庫している鉱物の輸出許可を政府に申請した。 一方、2019年4月に税関総局が財務省に提出した報告書によると、外資系企業、とりわけ中国系企業が電気・電子製品に使用される銅を買い求めて自国へ輸出しており、ベトナム国内生産向けの銅が流出する事態になっているという。現在の銅関連の輸出関税率は、原材料に近 い銅鉱などは40%だが、加工され完成品に近づくにつれ税率が低くなり、銅マットは15 ~ 20%、銅棒は5%、さらに銅製の管、銅製の管用継手は無税となる。 そのため低い輸出関税率の適用を受けようと、銅原材料を単純加工・低コストで製造できる銅棒などの銅製品に加工して輸出するという現象が起きている。こうした状況に対し、税関総局は金属製品の一部品目に課されている輸出関税率の引き上げを提案している。 建設ラッシュに沸くベトナムには、電気ケーブルや制御盤を製造する企業が多く、銅線、銅バーがよく使用されている。電力用銅線の製造企業としては、Thuong Dinh Electrical Wires and Cables(Cadi-Sun ブランド)、Sacom Wires & Cables、Thuan Phat Copper Wire、CFT Vina Copper 等が挙げられる。地場メーカーに話を聞くと、電気ケーブル・ワイヤーハーネスメーカーは、使用する銅線はタイやベトナムに進出した日系企業から購入しているが、その日系企業も海外から銅板を輸入しているという。またバルブメーカーは、銅スクラップをバクニン省、バクザン省で購入して自社でリサイクルするか、海外(マレーシア、韓国、台湾等)または他社の銅バーを購入して各種バルブを製造しているようだ。 チタン 南部海岸地帯のビントゥアン省には豊富なチタン資源が眠っている。埋蔵量は約5億9,900万トンとされ、ベトナムのチタン鉱石総埋蔵量の92%を占める。同省では近年、チタン精錬所(チタンスラグ、イルメナイト、超微細ジルコニウムの製造工場など)への投資が増えており、例えばハティン鉱産貿易はANIVI(スペイン)の機器と技術に投資し、Dat Quang Chu Lai社はドイツの技術と設備に投資した。その結果、2社のジルコニウム製品は高品質を実現し、イタリア、日本、アメリカの類似製品と競合するまでになった。

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第2回  鉄鋼業

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国内生産は主に建築用鋼材 2015 年から 2017 年にかけてベトナムの鋼材生産量は目覚ましく成長し、年平均成長率は 20%だった。2015 年の国内生産量は約 1,500 万トンだったが、2017 年には 2,100 万トンを超え(前年比 24.3%増)、消費量は約 1,800 万トン(前年比 20.7%増)だった。 この期間の鉄鋼業の力強い成長は、不動産市場の回復、政府の国内鉄鋼業の保護政策、そして 2016 年以降、世界の鉄鋼価格が回復したことに起因する。 ところが 2018 年から 2019 年にかけて鉄鋼業の成長は減速し始め、2019 年末までの鋼材生産量は 2,500 万トン(前年比 4.4%増)、消費量は 2,300 万トン(前年比6.4%増)だった。以前の急速発展の理由とは逆に、不動産市場の低迷、そして鉄鋼価格が下落しても原材料価格は同等に下落しなかったことが要因とみられる。米中貿易戦争や関税障壁もマイナス要因となった。 鉄鋼業の製品は主に建築用鋼材で、総生産量のほぼ半分を占める。冷間圧延鋼板、鉄板、鉄管の生産量は、建設用の鉄の生産量よりもはるかに少ない。熱間圧延コイル(HRC)は、2017 年 9 月までは 100%輸入品だったが、フォルモサ・ハティン・スチールの操業開始により国内で支給できるようになった。これを機に HRC の生産量が急速に増加し、ベトナムの鉄鋼業の成長に大きく貢献するようになった。また地場の鉄鋼大手ホアファットグループも、2020 年の第 2 四半期に年間 200 万トンの HRC を生産し始める計画を表明した。ベトナム鉄鋼業の製品構成において、HRC の割合は今後も徐々に増加するとみられる。 建築用鋼材や鉄パイプの生産は良いバランスを維持しているが、カラー鋼板の生産は、国内メーカーの過剰投資による供給過多で需要を上回っている状況だ。2018 年以降は値下げ競争により赤字転落する企業もあった。このまま進めば、中小の製鉄企業が大手のホアファット等に飲み込まれるのは時間の問題だ。 原材料は輸入に依存 ベトナムの鉄鋼業は輸入に大きく依存している。鉄鋼製品は常に輸入額が大きい品目のトップになっており、鉄鉱石の約 90%、瀝青炭のほぼ 100%、鉄スクラップの約 70%、黒鉛電極のほぼ100%が輸入品だ。 主要な輸入市場は中国だが、近年は中国からの鉄製品・原材料の輸入が徐々に減少している。2016 年の中国からの鉄鋼輸入量は 1,090

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第1回  電子産業

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  基幹産業として発展に貢献 2007 年の WTO 加盟から急速に成長してきた電子産業は、ベトナムの基幹産業として経済発展に大きく寄与している。特に携帯電話および同部品の生産が増えており、GDP に占める電子産業の割合は、2010 年の 5.2%から 2017 年には 14%へと上昇した。 電子製品は貿易収支にも貢献している。主要輸出品の携帯電話、コンピューター電子製品および同部品における輸出シェアは世界トップになりつつある。2018 年には電子回路は 10 位、携帯電話は 2位だった。主な輸出先は中国、ヨーロッパ、米国である。 電子製品の関連企業はほとんどが外資系で輸出高の 95%を占める。統計によると、2016 年時点で約 1,400 社が電子産業で活動しており、そのうち半数以上が外資となっている。電子製品メーカーもサムスン、LG(韓国)、フォックスコン(台湾)、インテル(米国)、パナソニック(日本)など外資が中心だ。 現在、ベトナムの電子産業に最も多く投資しているのは韓国である。2016 年から 2018 年にかけて、韓国による電子製品の生産プロジェクトは約 650 件あり、中でもサムスンと LG が圧倒的で投資総額の約 50%を占めた。日本の電気・電子企業は中国やタイのリスク回避を目的に進出しており、近年はほぼ中規模だった。 外資が増える一方、ベトテル、ビングループ(Vsmart)、BKAV(Bphone)、4P、アサンゾなど地場企業も続々と電子産業に参入している。しかし、外資との競争は非常に厳しい状況だ。問題点として、裾野産業が未発達のため、現地調達先の割合が低い点が挙げられる。商工省によると、ベトナム企業の現地化率は 5 ~ 10%に過ぎないという。ベトナムに流通するほとんどの電子製品が輸入完成品か、輸入部品で組み立てられた製品である。 課題と今後の展望 米中貿易摩擦、EU・ベトナム自由貿易協定(EVFTA)、環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)が追い風となり、ベトナムの電子産業は今後さらに成長することが確実視されている。2011 年から 2018 年にかけて、ヨーロッパへの輸出が連続的に増加しており、そのうち電子製品の輸出高は 25 ~ 30%を占めた。EVFTA に沿って輸入税が 0%になることで、ヨーロッパへの電子製品輸出はさらに増加する見込みだ。 ベトナムの産業の大きな課題の一つに、裾野産業が未発達で現地調達率が低いことが挙げられる。電子産業もその多くが組立製品であり、国内生産の部品が少ない。研究開発が弱いため高付加価値の部品が製造できず、輸入原材料に依存している状況だ。 電子産業の発展を促進するための政策も実現してはいるが、効果は薄くスピードも遅い。そのため地場企業には技術、設備投資用の資本金、管理システムなど足りない部分が多く、改革をしたくても前進できない現状がある。 高度な人材教育もベトナムの産業全体が抱える課題だ。電子産業にも多くの労働者が従事しているが、組立だけのオペレーターなので能力がまだ足りない。資本金不足と、国内企業の研究開発が停滞していることが主な要因だ。 ただ近年、現地サプライヤーをレベルアップさせるべく、政府がサムスンをはじめとする大手メーカーと協力し、地場企業への技術指導、管理システムや生産現場の改善支援、改善アドバイザーの教育等を行うプロジェクトを展開しており、これらの活動により裾野産業の基盤を革新できると期待されている。 持続可能な発展を目指すには、研究開発、人材育成、現地調達率向上などの課題を解決することが前提となるだろう。  

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